「道の駅調査隊」の記念すべきスタートを飾るのは、道の駅豊前おこしかけの “日本一思いやりのあるトイレ” です。道の駅ファンのみなさんにとっては、一度は耳にした事がある名前ではないでしょうか。だけど、その内容については、あまり詳しく知られていません。「日本一」と呼ばれる理由について、「おもいやり」の真相について、「道の駅豊前おこしかけ」の白石駅長さんにお話をうかがいました!!
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現在「道の駅豊前おこしかけ」は、国道10号線と新道である国道10号線バイパス(椎田道路)がひとつに接続する部分に位置しています。さかのぼること14年前、この新道の開通を前後して、この話は始まります。「大きなバイパスの完成で、豊前はただの通過点になってしまうのではないか・・・。」豊前市青年会議所の面々の間でささやかれていた問題は、とても深刻なものだったそうです。その対応策として、彼らの中からひねり出されたのが、“たまり”を作って地域おこしの拠点にしたいということ。豊前市にはTOTO(東陶機器株式会社)の関連会社やトイレットペーパーを作っている大分製紙の工場などもあり、その“たまり”の役割を成すものが『トイレ』として決定付けられたのは、むしろ自然なことだったそうです。
「お客さんを引きつけるためには、ただのトイレではなく、なにか大きな特徴をもっていなければならない。」青年会議所が旗揚げした“日本一のトイレづくり運動”は、こうしてスタートを切りました。
休憩機能・情報機能・地域連携機能の3つを柱として誕生した「道の駅」との出会いは、建設への機運を一気に加速させました。ただ純粋に“日本一”だけを目指していたトイレづくりも、「面積や規模、設備の新しさなどをうたい文句にした“日本一”では、やがて別の施設に淘汰されてしまう・・」などの意見も出され、“思いやり”という方向性の発見によって、プランは次第にリアルなものへと変化していきました。TOTOがプロジェクトチームを組織し、コンセプトの具体化や設計を担当するなど、様々な機関の協力を得て、“日本一思いやりのあるトイレ”の誕生をむかえます。
つまり、「道の駅豊前おこしかけ」の設立自体がこのトイレづくり運動に端を発していて、物産館や屋台村の構想はその後の展開となります。道の駅誕生の経緯が、トイレづくりにあるケースはとても珍しく、道の駅従業員がトイレにかける思いの強さもうかがい知ることが出来ます。
日本一といわれる“思いやり”は、地球環境に対するものや、エチケットマナー、利用者への心づかいに関するものなど、その対象はさまざまなものに向けられています。この地区には下水道が完備しておらず、浄化槽の設置・メンテナンスには多大な費用を必要とするなど、表面には見えない負担もいろいろとありますが、トイレに対する“こだわり”や“思い入れ”が、これまで「道の駅豊前おこしかけ」を支えてきた大きな原動力と なっているようです。
◯電力をなるべく使用しなくてもいいように構造を工夫し、地球環境への配慮を図っています。
・屋根にテント材を採用し、昼間の“明るさ”を自然の光を取り入れた照明にしている。
・換気扇を使わずに天井下の壁部を完全開口して通風をはかり、自然の風によって臭気の排除を誘うようにしている。
◯ドライブの中継地として、利用しやすさの追求やこの先のドライブに向けた配慮を図っています。
・男性・女性・子供・多目的(身障者兼用)をそれぞれ区分配置し、トイレ掃除による利用不可能時間の軽減(トイレ掃除時間帯の自由度向上)を図っている。
・これからのドライブを“楽しんでほしい”という観点から、女性が身だしなみを整えやすいように鏡を多く配置している。
◯気持ちよく利用できるように、イメージの維持・向上を図っています。
・美しく気持ちよく利用出来るように、専門職員を1日6時間配置したり、一輪挿しの花を生けるなど、清掃美化の徹底に取り組んでいる。
・建物の設計の中に“やさしさ”を強調する円形を多く採用している。
“日本一思いやりのあるトイレ”が抱えている今後の課題は、ゴミの不法投棄(持ち込みゴミ)をはじめとする、利用者マナーの低下です。便器を汚したままにしたり、トイレ付近でゴミを投棄(ゴミ箱ではない場所)したり、道の駅利用者の無責任な行動が、前段で挙げた“トイレへのこだわり”を台無しにしてしまいます。調査を行った日も、空き缶が捨てられているなど(豊前おこしかけでは、エコロジーの観点から缶飲料の販売を行っていない)、明らかなマナー違反が見受けられました。私たち利用者も、次の利用者への配慮、“おもいやり”の気持ちを大切にして、利用者の立場から“日本一思いやりのあるトイレ” の運営を支えていくべきではないでしょうか。