長崎県で昨年スタートしたばかりの新しい道の駅「松浦海のふるさと館」。春の陽気なお天気も味方して、とても穏やかな海と道の駅内に漂うやさしい雰囲気が印象的な取材となりました。


〜これまでいろんな駅長さんとお話してきましたが、とてもお若い駅長さんですよね。
どんなことをして駅長の椅子に辿りついたんですか?

上田駅長(以下=上): 偶然が重なった結果ですが、もともとはスーパーの仕事をしていた人間なんです。 17年間にわたって販売に関するいろんな仕事を見てきましたが、ちょうど転職を考えていた頃に、『道の駅・支配人募集』という文字が目に留まりました。募集要項をみてみると、自分がこれまでやってきたことがピッタリと当てはまるものばかり。
きっとこれは僕を呼んでいるんだ!とビビッと感じて応募しました(笑)。
地域に密接に関わっていく仕事にも、魅力を感じ始めていたんだと思います。


〜現在のこの盛況ぶりを見ると、これまでのスーパーの経験が、かなり強みになったということですね?

上:いえいえ。それがなかなか、うまくはいかないもので…。
何の予備知識もないままに、ほとんど直感的に手を挙げちゃったので、道の駅が持っている“意義の大きさ”を今でも毎日のように痛感させられます。
苦労したことは数え切れないほどにあって、例えば、この地域にはすでに多くの直売所がありました。地域振興という道の駅の根本的な観点からも、そこに出品している生産者の方々を、気安く奪ってくるようなことはできませんよね。同じように、鮮魚店や飲食店、地域の産業とも共存をはかるためには、彼らの仕事とダブるようなこともできない。「お刺身の販売」は、そういう理由から自粛しているんです。
そうしないと“道の駅の本来の意義”を自ら打ち消してしまいますからね。


〜同じ販売業でも、『スーパー』と『道の駅』では、勝手が違ったということですか?

上:そうですね。これまでとは、まったく正反対のことをしていると思います。 私はいつもスタッフに、『やさしさ・ゆとり・のんびり』といった心構えの大切さを伝えています。これは、私がスーパーで培った“利益一番”の考え方とは、全く逆の発想ですね。
来駅していただいたお客様には、心ばかりですが『おもてなし』をしたいと思って、例えば、インターネットができるパソコンルームを無料開放したり、レストランスペースを使って『お茶会』を開いたり。かなりの出費になってしまうんですが、テーブルにはお茶菓子を用意したりもしています。
最近では、松浦の郷土史を研究されている方がサークルの勉強会を開いたりと活用の幅も広がり始め、井戸端会議やサークル活動の拠点として、地域の方々のコミュニケーションが生まれ始めているんです。
おもしろいエピソードがあって、昨年の大きな台風の時、近所のおじいちゃんおばあちゃんに、『家は危ないから、道の駅に避難してください!』と声をかけてまわって、半ば強引にココまで“避難”してもらった時のこと。一番海に近いこの駅だけが、満潮と大雨で見事に浸水してしまったんです。あの時は、なんとも決まりが悪かったですね…。
はりきり過ぎて失敗ばかりしているんですよ(苦笑)


〜たしかに、もてなしの気持ちって大事なことですね。ですが、経営面とのバランスを取ることはとても難しいんじゃないですか?

上:私の考え方としては、長い目でみて結果的に、この駅に(松浦の地に)また来てくれるきっかけになればいいと思っています。 だから、うちの駅では『怒った顔』は厳禁なんです。少々仕事が忙しくても、『笑顔だけは絶やさないように』とスタッフには伝えています。おかげさまで経営が順調なのも、その甲斐あってのことだと思いますよ。 そういえば以前、    >>>>





●上田駅長:まだまだ元気があり余ってる30代!!!

●松の通り抜けや芝生広場。大きく広がる海岸線は、行ってのお楽しみということで。

●アットホームな雰囲気をどこか残している店内。スタッフのこころが伝わってきます!