|
鮎:(前ページのお話:中略)当初、農家の人たちとのコミュニケーションもほとんど初体験なわけだから(キャベツがどういうふうになっているかさえ知りませんでしたし…)、そういう人間が農作物についてどうこうと意見を交わすわけなので、当然最初はぶつかり合いの毎日でしたね。まあ、オープン前の3カ月と言わず、ざっと1、2年は掛かったんじゃないかなあと思います。 最初の一年間で、どうにかベースは落ち着くようになったものの、当初は勢いで売れちゃっていたので、一番ひどかったのはレストラン。準備は十分じゃないのに、「お袋の味で売っとるげなバイ…」という風に物珍しさだけでお客さんが集まっていただいたので、開店して1、2ヶ月はドーンと売り上げがあったんです。そしたら素人の悲しさか、3カ月目ぐらいからガタガタに崩れて気がつけば見るも無残な状態になっていました。期待が大きかった分、反動も大きくて…。ほんとに、レストランには苦労しましたね。 。
〜「道の駅竜北」の大きな特徴ってなんですか?
鮎:実は明日(取材は9月22日)「梨マラソン」という氷川町の一大イベント(1000人ぐらいが参加するそうです)があるんですが、「梨」というのはこの駅ができる以前から生産が盛んで「吉野梨」という名で100年もの歴史があるんです。熊本で「梨」といえば荒尾という地域が一番有名なんですが、道の駅ができてからは、竜北の「吉野梨」もだいぶ知名度があがってきたと思います。もともと生産者自体も市場経由ですべて出していたので、個人の出荷というのは今までなかったし、まして梨狩りができる観光梨園のようなものは少しもない状態でしたので、なかなか特産としては知られていないかも知れませんけれど。
竜北に来ていただいてるお客さんは、一年中果物や野菜が豊富に獲れる所として、リピーターになっていただいてるんじゃないかなあと思います。梨のほかにもイチゴや晩白柑を中心とする柑橘類など美味しい産品には事欠きませんからね。
もう一つ、道の駅竜北の特徴として言いたいのは、たくさん獲れる農作物をベースにした特産品の開発です。初年度に作ったのが「イ草抹茶ソフトクリーム」。衰えたりとはいえ、ここはイ草の一大産地なので、それを前面に“食用イ草”というのを入れてみたのが最初のウリとなる特産品だったんです。これはこれで人気が出てきたので、そのほかにも色々とリストアップして、去年から「オリジナルアイス」や今回のプレゼントでも紹介してもらっている「餅米を使ったタルト(もちっ娘タルト)」など、特産品をただ売っているだけではなく、どんどん製品として開発していこうと考えています。
それに加えて大事なのは、この地域に全くない観光的な視点。果物狩りなどの自然体験みたいにグリーンツーリズム的な発想をもう一つの柱にしていこうと、今年からツーリズムクラブを立ち上げたりもしています。「収穫祭」や「果樹のオーナー制度」などをスタートさせて、この場所にしかない魅力を創出しようということで。その二つの軸の相互関係によって、結果として、道の駅や竜北自体のお客さんを増やしていきたいんです。
〜それはとても魅力的なお話ですね。しっかりと経営が安定した道の駅の中には、「いろいろと制約も多いし、道の駅って名前はもういらないんじゃない?」という駅もあるとお話に聞きますけど…?
鮎:なるほどね。それは一つの考え方かもしれませんが、ちょっと違うんじゃないかな…。もともと道の駅としてスタートしているわけで、地域の情報発信をしようという前提があるからこそ、お客さんが来てもらえてる。そういう流れというのは、うまくいってる道の駅ほど大きく影響しているはずなんです。物産館として成功しているところも確かにあるけど、道の駅という大きなブランドに属しているからこその安心感って、大きな来店理由につながってると思うんですけどね。「道の駅だから」というパブリックな基準は、とても大事なものを形成している気がしています。身障者スペースに関するお客さんからの強い要望などは、とても顕著な例ですよね。
〜「道の駅竜北」の未来像について教えてください?
鮎:もっともっと、この場所を中心とした情報発信ができるようになっていたいですね。道の駅がどうこうということではないですが、竜北といえばというイメージの定着や特産品開発、生産者を支える組織的なうごき、地域の拠点としての位置づけなどなど、徐々に滞在型の道の駅へシフトしていくようなアイデアも(夢みたいな話も含めて)いろいろと出ているんです。今まで以上に、地元に活気をもたらすような施設に出来たらなと思っています。地元の若い力を育てることも、魅力ある場所ならば容易だろうと思うんですよね。
|
|